ちょっとしたきっかけがあって、学生時代に夢中になっていた本を読み直しました。
すると楽しいんですよねえ。学生時代からもう二十年経過していますが、気分が当時に戻ります。現在の自分が消えてしまうという錯覚すら生じます。わたしなりに経験をして、蓄えてきた処世術とか分別などが消えてしまうような気分になるのですよ。
残るのはただ、無謀に無邪気に夢を追いかけていた時の自分。
わたしには面白い物語を書きたいという夢があって、でも今の自分ではなかなか乗り越えられない壁があって、どうしようと途方に暮れていた現在のわたしを、学生時代のわたしは「そんなこと大した問題じゃない」と言い放つのです。我ながらなんてたくましい。
でも嫌いになれない、むしろ疲れ気味な今の自分には必要な要素かもしれないなあとも考えて、むかしに夢中になっていた本を読み返して、学生時代の自分が持つたくましさを取り戻そうと考えたのでした。
少々振り回されてる感触もあります。感情が豊かすぎて「おおふ」という気持ちにもなったり。過去のわたしは、一冊の本が示す起承転結にとても振り回されていたのですよ。今の自分は感情がフラットな時が多いから、少々疲れもします。
しかし悪くない。
ただ、問題があります。むかしに夢中になっていた本は、なにせ二十年以上の歳月を経ています。おまけに何度も読み返してきた本だから、ボロボロになってきてます。ページが外れてはないから、読書に支障はないんですが、本のカバーがぼろっと破れそう。や、現に破れているところもあります。乱暴に扱わないようにしているんですが、それでも日焼けまでは防げないのですよ。
うーん。電子書籍してほしい。
自炊という、本をPDFファイル化してくれるサービスの存在は知っています。ただ、著作権的にもグレーなサービスですし、どこに行けば受けられるサービスなのか、わかりません。それに大切な本を断裁してPDF化するのだと知っているから、ためらいもあります。
だから出版社さんに、むかしの本を電子書籍化してほしいなあという気持ちになるのです。
電子書籍なんて影も形もなかった時代に出版された本です。わたしは出版関係に縁もゆかりもない一般人ですが、むかしの本を電子書籍化するとなると、著作権的にも人員的にも営業的にも厳しいんだろうなあと想像もしています。電子書籍に抵抗を覚える作者さんもいらっしゃるでしょうね。それでもやっぱり、電子書籍化してほしいと願ってしまうのです。
大好きなシリーズ、手放してない本もありますが、長い歳月のうち、手放してしまった本もありますから……。図書館に頼ろうにもね、存在しない本もあるのです。ああっ、○○シリーズ、なんで手放しちゃったのかなっ! そういう本がいくつもあります。
ミニマリスト本には「一年使わなかったものは手放した方がいい」とありますけれど、本に限ればそれは違う、と断言しておきます。本はね、別物なのですよ。五年経ってから読み返したいと思う時がしばしば発生して、でもその時にはもう本は絶版してたり電子書籍化されてなかったりで、読み返せないときもあるのですよっ。
たくさんの本があると知っています。今、活躍されている作家さんの毎月の本を出版するだけでも大変だろうと想像もできます。でもでも二十年以上むかしにも売れていた本にもう一度目を向けてもらえないかなあ。電子書籍化されたら、わたしは買う。今ある本とだぶる結果になっても、買う。だから出版社さん、作者さん、お願いっっ!!
……うう、わたしが世界的大富豪だったら電子書籍化事業のスポンサーになるのにい、と考えながら、今日の日記、いいえ、ぼやきを終わらせようと思います。
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